標高2500メートルを超えるウル山の麓に広がる、自然豊かなトルコ北西部の街、ブルサ。市内に残る自然の多さから、「緑のブルサ(イェシル・ブルサ)」とも呼ばれ親しまれているこの街は、1326年、セルジューク朝からブルサを奪ったオスマン朝が最初の首都とした街でもあるのです。

1326年から1365年までオスマン朝の首都が置かれていたため、ブルサにはオスマン朝初期のスルタン(皇帝)の霊廟が数多く残されており、オスマン帝国の歴史を知る上では欠かすことができない重要な街なのです。

ブルサ中心部の隣に位置する、静かで自然が多いイェシル地区には、そんなブルサの「緑」と「歴史」を象徴するグリーン・モスク(イェシル・ジャーミィ)があります。モスク内部を装飾している美しい緑や青みがかったおびただしい量のタイルを見れば、このモスクが「緑のブルサ」を象徴する建造物であることがすぐにわかります。

心静まる神聖な空気に満ちたこのモスクは、オスマン帝国第5代スルタンのメフメト1世によって建てられたもので、オスマン朝初期のモスク建築の傑作のひとつとして評されるほどなのです。

それぞれの壁面に施された、模様や色合いが微妙に異なるタイルは目を見張るほどの美しさです。クルアーンの一節が書かれたカリグラフィーとタイルが織りなす芸術美にも注目です。

このイェシル・ジャーミィに面するように建っているのが、同じくメフメト1世によって建てられた緑の霊廟、イェシル・テュルベです。ターコイズブルーの外壁が一際目を引く霊廟で、内部の壁面はブルサを象徴する色のタイルで見事に装飾されています。

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