【2022年10月4日 ポルトープランス(ハイチ)/ニューヨーク発】

ユニセフ(国連児童基金)は本日、治安の悪化が深刻なハイチでコレラが再び発生し、ハイチの首都ポルトープランスに住む120万人の子どもたちの健康が脅かされていると、警鐘を鳴らしました。ハイチではこれまでの3年間、コレラは1例も報告されていませんでした。

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武装集団同士の衝突や物価上昇への激しい抗議行動が続くハイチで、コレラによる死者7人、陽性者5人が確認されました。ポルトープランスの都市部ではさらに60人の感染が疑われており、調査が行われています。先日、3歳の子どもがコレラで死亡したとの報告もあがっています。コレラは水を媒介して広がる感染症で、急性の下痢症を引き起こし、発症から数時間以内に治療を受けなければ死に至ることもあります。

ユニセフ・ハイチ事務所代表のブルーノ・マースは、「続く混乱と治安の悪化により、ハイチの最貧困層にいる多くの家族が安全でない水を飲み、利用するしか手だてがないのです」と述べています。「手を洗うための石けんも買えず、ゴミも回収されず、病院も閉鎖されたり治療を提供できなくなったりしています。これらすべての要素が、ハイチをコレラ発生に向けての時限爆弾に変えてしまい、今、それが爆発したのです」

コレラの発生は、社会不安と暴力が国中にまん延し、病院や給水施設などを通じた基礎的な社会サービスの提供が制限される、または遅延する中で起こっています。その結果、22の主要な衛生施設のうち17が、燃料不足により閉鎖の危機に直面しています。今後数週間で、5万人の子どもや新生児が医療を受けられない可能性があります。また、年末までには7,000人の性暴力の被害者が、治療を受けられない状況に陥る可能性があります。現在、ハイチ全土の主要な病院の4分の3が、燃料危機、治安の悪化、略奪により、通常のサービスを提供できない状況に陥っています。

また、支援を必要としている子どもたちや家族も、はびこる暴力のために人道支援物資を手に入れることができません。ポルトープランス市の港が武装集団に支配されているため、港に着いた物資の国内での流通は滞っています。コレラの感染が確認された地域、あるいは発生の疑いのある地域へのアクセスは、治安の悪さから依然として困難であり、燃料危機はコレラの再流行への対応をさらに複雑にしています。

国内で初めてコレラ患者が確認されたシテ・ソレイユ市の、栄養不良に関する最新のデータによると、5歳未満の子どもの5人に1人が重度または中度の急性栄養不良に陥っています。シテ・ソレイユ市では基礎的な社会サービスが行き届いていないため、今回のコレラの再流行によって多くの子どもたちが命を落としてしまうことが懸念されています。

ユニセフは、コレラの再流行に対応するハイチ政府を支援するため、備蓄していた下記の非常用支援物資を、ハイチ水・衛生局(DINEPA)に提供しました。

1万5,000人が15日間使用できる浄水錠剤75万5,000個
固形石けん2万8,230個(1万4,000人の1カ月分)
容量10キロリットルの給水袋20個、容量5キロリットルの給水袋10個、給水タンク30個

ポルトープランス市の水道水や罹患した家庭の消毒、影響を受けている地域の保健所への供給などのハイチ水・衛生局の活動を支援するため、容量45kgの塩素入りドラム缶を80本、合計3,600kgを発注しています。

「もし、人々が治安が悪いゆえに基本的な保健、水、衛生サービスが受けられない、あるいは制限される状況が続けば、コレラはいとも簡単にハイチ全土に野火のように広がるでしょう。大流行を防ぐために、私たちの最も急を要する課題は、安全な水、塩素、石けんを調達し供給することだけではなく、ギャングが支配する地域の最貧困層の家族に届ける方法を見つけることです」とマース代表は述べています。

ハイチにおけるユニセフの人道的対応は、依然として深刻な資金不足に陥っています。子どもたちを水媒介性感染症から守り、栄養不良を予防するための主要な活動の一つである、きれいな水を200万人に提供するための資金は、これまでに必要額の20.2%しか集まっていません。

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。https://www.unicef.or.jp/

※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/