【2022年10月18日 ドロー(ソマリア)発】

ユニセフ(国連児童基金)広報官のジェームズ・エルダーは、ジュネーブで行われた国連の定例記者会見において、ソマリアで前例のないほど多くの子どもが命を落とす可能性がある、と警鐘を鳴らしました。以下は、会見の概要です。

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ソマリアでは今、毎日毎分、子どもが重度の急性栄養不良の治療のために保健施設に入院しています。8月以降の最新の統計によれば、4万4,000人の子どもが重度の急性栄養不良で入院しており、これは1分に1人、子どもが入院している状況にあたります。

母親が助けを求めて何日も歩いて連れてきた子ども。生き延びようと身体が闘っている子ども。生死のふちをさまよっている子ども。こうした子どもが、何人もいるのです。

重度の栄養不良の子どもたちは、栄養状態の良い子どもたちに比べて、下痢やはしかで命を落とす確率が最大で11倍も高いのです。この数値は、ソマリアが過去数十年間に経験したことのない規模の惨状に瀕していることを物語っています。

そしてこの信じがたい衝撃的な統計には、実際に治療施設までたどり着くことができた子どもたちしか反映されていません。テロや支援従事者への脅迫によって、最も弱い立場の人々へのアクセスが妨げられ続けているこの国では、さらに何千人もの子どもたちが必要な支援を受けられずにいるのではないかと、我々は危惧しています。

この状況に対するユニセフの支援:
ユニセフは、栄養不良の子どもたちを「発見して治療する(find and treat)」ための移動チームを編成し、アクセスが困難な場所にいる子どもたちに支援を届けようとしています。
今年、ユニセフは重度の急性栄養不良の子どもを30万人以上治療しました。
ユニセフはこの3カ月間で、緊急給水車を使い50万人にきれいな水を届けました。

しかし、資金調達の課題は残されています。各国政府や政府関係機関によってここ数カ月でかなりの資金が集まりましたが、飢きんを二度と起こさないために必要なのは、決定的な変化であり、それには長期的投資が欠かせません。例えば、ユニセフがソマリアを含むアフリカの角地域で家族とそのコミュニティのレジリエンス(回復力)を高めるために行っている3年間の支援には、現在わずか3%の資金しか集まっていません。

今日のソマリアが直面している危機について語られるとき、一般的には、26万人が死亡した2011年の飢きんと比較されます。しかし私が、栄養の専門家から遊牧民に至るまで、現地の人々に聞いた限りでは、今回の状況は2011年よりも実際に悪いようだ、という一貫した意見でした。

2011年の飢きんは、過去3回の雨期で雨不足だったものの、影響を受けた人口は現在の半分で、雨量や収穫量など全体的な見通しは好転しているなか起きました。現在の状況は、これまで雨期4回に雨がないうえに5回目の雨期の雨量も予想はかなり厳しく、さらには影響を受ける人の数は2011年の2倍に増えています。すでに非常に困難な状況ですが、あらゆる兆候が悪化を示しています。

さらなる行動と投資がなければ、我々は半世紀に一度の規模で子どもたちの死に直面することになるでしょう。

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/