子どもの孤立の解消に取り組む認定NPO法人PIECESは、代表理事小澤いぶきがこども家庭庁設立準備室のアドバイザーを務めるなど、政策提言や啓発活動にも力を入れています。

すべての子どもは生まれながらにして「子どもの権利」を持っています。 しかし貧困や虐待などを背景に、子どもたちの尊厳がないがしろにされている出来事が多々起こっています。 いま、改めて子どもの権利の重要性をとらえなおし、より広く発信する啓発キャンペーンを実施します。

キャンペーンページ:https://www.pieces.tokyo/crc2022

■11月20日は「世界子どもの日」

1989年11月20日、すべての子どもに人権を保障する初めての国際条約として『子どもの権利条約』が国連総会で採択されました。この条約が生まれたことにより、世界中で子どもの保護への取り組みが進みました。現在では、子どもの権利のために行動する日として、世界中でさまざまな取り組みがなされています。

「子どもの権利条約」では、子ども(18歳未満)を権利の主体ととらえ、おとなと同じく、一人の人間としての権利を認めています。また、おとなよりも社会的に弱い立場にいる子どもたちは保護などの権利を定めています。

■なぜ「子どもの権利」なのか

子どもの権利条約が日本で批准されてから28年が経った今もなお、貧困や虐待などを背景に、子どもたちの尊厳がないがしろにされている出来事が多々起こっています。虐待相談対応件数は年々増加し、命が奪われる事例も後を絶ちません(令和3年度児童虐待相談対応件数(速報値)20万7,659件 出典:厚生労働省)。

「子どもの権利条約」を締約しただけでは、子どもの権利は守られるようになりません。子どもに関わるすべての人が、子どもたちに起きている現状について知り、関心を寄せ、権利が実現されるように行動することが大切です。今、改めて子どもの権利の重要性をとらえなおし、より広く発信していく必要性があると感じています。

子どもは尊厳ある一人の人。一人の人である子どもの尊厳が守られる環境をつくることは、おとなや社会の大切な役割ではないでしょうか。そんな想いから、PIECESでは11月を子どもの権利月間とし、子どもの権利を広く普及するためのキャンペーンを実施します。

子どもの約3割、おとなの約4割が「子どもの権利条約」について「聞いたことがない」と答えています。

子どもが生存と発達を保障され、不当な取り扱いから保護され、自分らしく生きる基本的人権を実現するためにできた「子どもの権利条約」。日本では1994年に批准されました。しかし2021年に実施された調査によると、子どもの約3割、おとなの約4割が「子どもの権利条約」について「聞いたことがない」と答えています。

出典:公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「3万人のアンケートから見る 子どもの権利に関する意識」を基にPIECES作成

■子どもの権利を深めるさまざまなコンテンツを紹介

「権利」や「人権」と聞くと、「難しそう」「自分には関係ない」と感じる方も少なくないかもしれません。しかし子どもの権利をはじめ、私たちのくらしには、あらゆる場面で「権利」や「人権」が関わっています。

キャンペーンサイトでは、子どもの権利条約について知るだけでなく、さまざまな分野で活躍する専門家の視点から、子どもの権利について深めます。

<コンテンツの一例>

新生児科医/小児科医として、子どもたちの命を支える今西洋介さんに、医療の切り口から、子どもの権利についてお話を伺いました。

子どもの権利を尊重するとはどういうことか、PIECES代表理事で児童精神科医の小澤いぶきの解説と共に、子どもとの関わりを「#かもしれない」の視点で見つめます。

■子どもと一緒に学べるイベントを開催

おとなだけでなく、子ども自身が「子どもの権利条約」を自分たちの権利として知ることが大切です。

今回は小学生を対象に、子どもとおとなが一緒に「子どもの権利」を知る機会としてワークショップを開催いたします。

 【イベント概要】
 日時:11月27日(日)13:30-15:00
 場所:認定NPO法人PIECES 本郷オフィス
 東京都文京区本郷3丁目40-10 三翔ビル本郷 4Fsocial hive HONGO(本郷3丁目駅から徒歩4分)
 定員:15組
 対象:小学生/保護者(子どもが一緒に来たい先生やお兄さんお姉さんと一緒でも可能です)
 ※今回小学生を対象にしていますが、関心のある中学生・高校生も参加可能です
 参加費:無料/寄付付きチケット
 申込:Peatixよりお申し込みください(https://worldchildrensday-221127.peatix.com)
 主催:認定NPO法人PIECES
 お問い合わせ:info@pieces.tokyo

■PIECES代表理事/児童精神科医の小澤いぶきよりメッセージ

2022年9月にスウェーデンを訪れた際、子どもの権利が当たり前に市民の生活に根ざしていることを実感しました。例えば学校では、どんな遊具があるといいか子どもと先生が話し合い、遊具の設置が実現されたり、保育園では、日々どんな遊びをするかを決めるプロセスに子どもが参画していたりするのです。 子どもの参画や意見表明といった権利の実践を通して、子どもが自分の権利を知り、自分が社会に影響ある存在であることを体験的に身につけていました。
子どもの権利が当たり前になった背景には、多くの家庭が購入する牛乳パックに体罰禁止を呼びかける広告を載せ、大人と子どもが法律について知り、話し合うきっかけを広くつくる工夫や、子どもの権利に関する絵本や小冊子の配布、学校での授業など、国を挙げて社会全体へ広く訴えるための啓発キャンペーンがありました。

社会を動かすには時間がかかるかもしれません。しかし社会は私たち市民の行動によって変化し、動いていきます。市民が自分たちのこととして権利について知り、実践することは、長期的に文化に影響します。

子どもは尊厳ある一人の人。尊厳ある一人の権利主体として、子どもたちがこの社会で生きていく環境を、子どもとともにつくることは、大人の、そして社会の大切な役割です。 PIECESはこれからも子どもも大人も尊厳が大切にされる社会を目指していきます。

■認定NPO法人PIECESについて

子どものメンタルケアを専門にする児童精神科医の小澤を中心に、2016年に設立。子どもの周りに信頼できる他者を増やすことで、子どもが孤立しない地域をつくることを目指しています。子どもの孤立が深まる前に、地域の中で子どもを見守り、子どもに寄り添う市民を増やすための市民性醸成プログラムを展開。ひとりひとりが自分らしい市民性を醸成し、行動できるようになることで、子どもと自分、地域のwell-being をつくることができると考えています。