去る2月29日、三井住友信託銀行は、英・ロンドンに本社を置く、サステナビリティに特化したコンサルティング会社ERMグループの日本法人「イー・アール・エム日本」と新会社を設立し、脱炭素化の推進など企業の気候変動対策に関するサービスを開始すると発表。4月1日付けで発足する予定で、名称は「ERM SuMi TRUST コンサルティング」となる。
近年、世界規模での異常気象による災害が多発し、人的被害さらに経済への影響も甚大となりつつある中、日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「脱炭素社会の実現」を国際公約として掲げおり、国家を挙げて対応する強い決意を表明。脱炭素社会への移行は、日本の経済界においても喫緊の課題となっている。
そんな中、三井住友信託銀行は、脱炭素社会の構築に向け、多くの企業が、国内外で脱炭素実現を意識した経営方針の転換、及び脱炭素への移行に取り組む上で、自社がサポートできる領域を増やしていくことを目指し、世界約40ヵ国、150ヶ所の拠点を持ち、サステナビリティに特化した世界最大のコンサルティング会社であるERMグループとの提携を選択。
1971年の設立当初から、いち早く環境の分野に特化したサービスを世界各地で展開してきたERMのグローバルな専門知識と、日本国内での信頼の厚い、三井住友信託銀行ならではの顧客基盤と、金融インフラ機能を組み合わせることで、既存の顧客が抱える気候変動・脱炭素分野における複雑な課題やニーズに対して、実践的かつ国際競争力を意識したコンサルティング及びソリューションを提供していく考えだ。
今回の提携について三井住友信託銀行の田中茂樹副社長は、それぞれに異なる得意分野を持つ両社が手を組むことで、「グローバルな知見やサステナビリティ領域に対するコンサルを顧客に提案し、資本市場の活性化を目指したい」と語り、イー・アール・エム日本の野間達哉社長も、「気候変動のアドバイザリーからファイナンスまで、会社として一気通貫で提案できれば、顧客も安心して依頼できるのではないか」と、新会社の設立の狙いを語った。なお、ERMグループがパートナー企業と戦略的な合弁会社を設立することは世界初となる。
イー・アール・エム日本がまず新会社を設立し、コンサル機能をこの会社に移した上で、三井住友信託銀は3月中に新会社株式の35%を取得するという。今後の動向にも注目したい。