かつて明治時代の日本において、多くの知識人や文化人が集まっていた場所、それが「喫茶店」。

そんな時代の流れを脈々と受け継いで今にその香りを届けてくれているのが「純喫茶」というジャンルのカフェ。

実は「喫茶店」にはかつて「特殊喫茶店」と呼ばれる、現在のクラブやキャバレーのようなものがあり、それと区別するために「純喫茶」と呼ばれるようになったという歴史があり、昭和の時代には非常に多く存在した純喫茶は残念ながら現在は少なくなってきている。

しかしながら味わい深い純喫茶で過ごす時間は懐かしさや愛しさに溢れており、時間を味わうためには最適な場所。今回はそんな時の移ろいを、文士たちが集った名店の歴史とともに味わえるお店をご紹介したい。

お店の名前は「茶房 武蔵野文庫」。

・昭和60年(1985年)創業の喫茶店、それが「茶房 武蔵野文庫」
こちらのお店、昭和60年(1985年)創業の喫茶店。

昭和60年(1985年)といえば、男女雇用機会均等法が成立し、ファミコン用ソフト「スーパーマリオブラザーズ」が大ヒットを飛ばしていた、まさに日本がバブル絶頂を迎えていた時代。そして後にバブル崩壊の引き金となったプラザ合意が行われた年でもあった。

この年に生まれた「茶房 武蔵野文庫」は、今なお多くの人々に癒しの時間を提供し続けているのだ。

実はこちらのお店、かつて戦後に早稲田大学の近くに開放されていた学生サロンのような場所が起源となった「早稲田文庫」という喫茶店が源流なのだと言う。

当時の「早稲田文庫」のスタッフである「茶房 武蔵野文庫」のオーナーが「早稲田文庫」から引き継いだ数々の書物などがこちらのお店には残されており、今なお多くの人々にかつての雰囲気を提供し続けている。

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