95歳を迎えてなお、尼僧・瀬戸内寂聴は意気揚々だ。寂聴氏は『女性セブン』(小学館/18年4月19日号)のインタビューに答え、森友問題で批判の渦中にある安倍昭恵・首相夫人に対し「あんな旦那さまは、今すぐポイしちゃいなさい」と語り、ネット上で物議をかもしている。

寂聴氏は、同インタビューの中で昭恵夫人を「彼女が使っていた『家庭内野党』という言葉は斬新で、新しい時代の妻のあり方を作り出した」と評価し、ファーストレディといえど夫に合わせることなく「自分の生き方を前面に出すことはとてもいいこと」と持ち上げた。その上で「昭恵さんが外の世界に目を向けるようになったきっかけは“家庭に満足できていなかったからじゃないか”と思う」と懸念をしめし、夫を捨てて離婚することで、もっと自由になれると説いたのである。

この大胆な提言にはSNS上でも「さすが寂聴。とても僧侶の言葉とは思えない。95歳になっても反権力への執着はおさまらないんだね…」「魔女狩りの次は、夫を捨てろって?『あんな旦那様』と夫婦間のことを第三者が勝手な想像で言うのか、非常識だ」「自由な昭恵さんと、何があっても見捨てない安倍さんの生き方は、夫と子供を捨てたアンタより美しいと思うんだけど」などと非難囂々だった。

寂聴氏自身も若い頃に夫の教え子である青年と不倫関係になり、夫と当時3歳の娘を捨てて青年の元に走っている。そして次は青年を裏切り、妻子ある男性と三角関係になるという、自由すぎる人生を謳歌してきた。それゆえ執着を「捨てる」ことで自由になれると説いているのかもしれない。

■税金嫌いを公言し、日本一高い講演料は「謝礼ではなく喜捨で」

仏門に入っても反権力に強い執着をみせる寂聴氏だが、煩悩の方もおさまりを見せない。2日放送の『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)でも、寂聴氏は昼間から「のどが乾いたらビール!」といって酒をくらい、秘書に霜降り肉を焼かせて「(肉は)いっぱいあるんでしょ? どうしてケチケチするの?」と腹一杯、高級肉を味わうシーンも放送されて話題を呼んだばかり。僧侶としていかがなものかと思うところだが、かつてテレビ番組で肉食を咎められた寂聴氏は「私が殺すわけではないから」と発言していたと記憶している。

だが、なにより特筆すべきは寂聴氏のカネへの煩悩ぶりだろう。京都・嵯峨野に、資産価値で推定数億円ともいわれる800坪の寺院(うち200坪は自宅の豪邸)を構える寂聴氏の裏の顔が浮かび上がってくる。

元税務署員で作家の五十目寿男氏は自身のサイトで、寂聴氏の並外れた「税金嫌い」を指摘している。83年5月号の『文藝春秋』の特集「税金これでいいのか」の中で、寂聴氏が「税金と聞くと腹が立って、腹が立ってジンマシンが出そう。このごろガンで死ぬ人がふえているが、その原因の一つには必ずや税金が影響していると思う」と語っていたとする記載があったと指摘している。

また同氏が、税理士を対象とした法学研究科公開講座で、出席者の1人が「瀬戸内寂聴さんが講演に見えると、その代価は謝礼や講師料とは書かないでほしい、必ずお布施とか喜捨とか志納金とかにしてくれと言われる」と話していたのだという。

つまり、寂聴氏が「日本一高い」と語る講演料は、”謝礼”や”講演料”の名目だと個人の収入として課税されるため、あくまで”お布施”として自身の宗教法人の収入としてきたのではないか、との疑念がよぎるのである。

ちなみに寂聴氏は月に1度、自身の寺院「曼陀羅山 寂庵」(京都市右京区)で法話を行っているが、こちらは無料。「金とるような宗教は偽物!」というポリシーからのようだが、本やDVD、さらに高価なグッズが飛ぶように売れているという。こちらも宗教法人の収入だと思われる。

ともあれ、愛欲に溺れた若き日を経て、仏門に入りまだなお反権力に生き、文字通り肉、酒、カネにこだわりを見せ続ける寂聴氏。いまだ煩悩は増える一方の尼僧をメディアが有り難がって称賛する光景に違和感を抱かずにはいられない。