イギリス各地の森に古くから自生し、森一面をまるで青の絨毯のように染めてしまう「イングリッシュ・ブルーベル(English bluebell、学名:Hyacinthoides non-scripta)」をご存知でしょうか?色は紫がかった青で、すずらんのように垂れ下がった茎に筒状の花を鈴なりに咲かせる可憐な花です。

イギリスでは昔から『妖精の花』といわれ、多くの書物や絵本にブルーベル・フェアリーが描かれています。イングランド南西部のサマセット地方には「ブルーベルを採りに森に入ってはいけない。子供は帰ってこられなくなり、大人はピクシー(いたずら好きの妖精)に変身させられて、誰かに見つけてもらえるまで森を出られなくなってしまうから」という言い伝えがあるほど。

例年4月~5月に見頃を迎え、この時期になると多くの人がこぞってブルーベルの景勝地に出かけます。

そんな中でもイギリス屈指の青の絨毯が見られる場所が、ロンドンから車で約1時間、電車でも十分に日帰り可能な「アッシュリッジ・エステート(Ashridge Estate)」です。

歴史的名所や自然的景勝地の保護を目的とした団体「ナショナル・トラスト(National Trust)」が管理し、無料で常時開放(※)されているこの森が、一年で最も賑わうのが何といってもブルーベルの季節。ロンドン近郊ということもあり、シーズン中は駐車場やカフェも連日混み合います。
(※シーズン中一部区画のみ有料ですが本記事中には含まれていません)

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