日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で、「関東学生アメフト連盟」が、内田正人前監督らに対して処分を発表したことを『ひるおび』(TBS系)が取り上げた。番組には、ゲストコメンテーターとして元関西学院大学アメフト部QBの有馬隼人氏が出演。MCの恵俊彰がフリップボードを使って一連の騒動を説明し、有馬氏が内田氏を「指導者として失格」という発言を紹介したが、本人からその発言について「私は言っていない」と訂正をする一悶着があった。

番組では29日、悪質タックル問題を受け、関東学生アメフト連盟が日大への処分を発表したことを特集。連盟の寺田昌弘専務理事は「悪質なタックル行為は、私たちの認定では“指示”があってやったものである」とし、監督らからの指示を認定。その上で、内田前監督と井上奨前コーチは、事実上の永久追放にあたる「除名」処分にすると決定した。

これまで、会見などで「悪質タックル(の場面)を見てなかった」という内田前監督の主張についても、関東学生アメフト連盟は、「当該選手の最初の反則行為を見てはいなかったとする内田氏の供述は“虚偽”であると判断します」と断罪。そして、連盟が調査の結果、日大アメフト部を「行きすぎだ指導、それをおもんぱかったコーチ、そして何も言えなかったチーム。内田前監督の責任は教育者としても非常に重要」と、前監督を中心とした異常とも言える指導実態を指摘した。

これを受け、番組では内田氏が日本大学の人事担当の常務理事であり、大学の34の運動部の予算を管理できる立場で、意にそぐわなければ人事権の行使まで行っていた権力者ということを批判的に取り上げ、ことの問題の背景には、日大やアメフト部の組織体制や、指導方法に問題があるのではないかとの論調で、組織改革が必要だとの意見が飛び交った。

番組コメンテーターの八代英輝弁護士は、「日大のアメフト部の改革といった意味では、おそらく内田前監督が(大学の)理事職にとどまる限りでは内田カラーの払拭は、新しいアメフト部のスタートとしては無理だと思う」と、アメフト部が生まれ変わるには、内田氏が理事職にいる限りは進まないと持論を展開した。

また、内田氏の指導法として、「結果を出さなければレギュラーから外すぞ」という選手への圧力や、ひたすら厳しい練習を課し理不尽とも言える要求を、対象の選手を変えて何度も繰り返されていたことが判明。

悪質タックルをした宮川選手も、内田氏からのプレッシャーの対象となり「精神的重圧から宮川選手は顔つきまで変わってしまった」「あれはちょっとやりすぎではないかと」というチームメイトの証言が、フリップボードを使って明かされた。

そして、その流れで内田氏について、有馬氏の発言として「指導者失格だ」と書かれたコメントをフリップで紹介。しかし、その場で、有馬氏自身が「(内田氏を)指導者失格だとは、私は言ってないんですけど…」と反論。言ってもないことがフリップにされたことに若干表情を強張らせながらも、「怖がらせて、従わせる指導方法はやめないといけない」と、今後の日大アメフト部再建へ提言をした。

今回、有馬氏が、番組にも出演していたから、その場で本人の訂正が出来たものの、もし出演してなかったら、フリップの“捏造発言”がそのまま視聴者に伝わったことだろう。日大のアメフト部の改革云々の前に、TBS及び『ひるおび』制作班は、番組にとって都合のいいフリップを作成し、嘘の発言を垂れ流すという放送倫理にもとる報道体制を改革した方が良さそうだ。