これは、少なくとも4月25日ごろまでソーシャルグッド財団のホームページに掲載されていた、「エコシステム参画予定候補(SocialGood幹事会社の既存取引先)」とされる企業群とロゴです。どうです、凄く立派な財団が高い理念のもと著名企業の惜しみない協力を得て仮想通貨ベースのエコシステムをICOで実現しているように感じませんか。
また、当時提出されていたホワイトペーパーにも、ロゴ付きの著名企業が掲載されています。これは大丈夫だったのでしょうか。
ここで問題になるのは、附則で説明されている「同社の取引先は以下の通りである」と「これらの企業を対象にSocial Good エコシステム™への初期加盟を促す予定である」という内容です。つまりは、取引の多寡はともかく別にソーシャルグッド財団のICOに参画が決まっているわけでも協力しているものでもないという「盛り」の構造になるわけであります。
その後、これらの掲載企業に問い合わせをしてみたところクレームになったのか、遅くとも5月28日ごろには画像による企業ロゴの掲載はすべて削除。なぜ協力するとされている企業のロゴが削除されてしまったのでありましょうか。
さらに、現在はホワイトペーパーが3.0にバージョンアップされた際に、名だたる大企業の過半が名前すら削除されるに至ります。ずいぶんさっぱりしましたね。
つまり、これらの著名企業の賛同・協力を得てソーシャルグッド財団のICOが実施されるという話ではなく、何らかの取引でワンタッチあっただけの企業群であって、ロゴを削除しなければならない状況に追い込まれたのではないか、と推測されるものです。
この質問に対して、ソーシャルグッド財団では「ホワイトペーパーに記載した内容は事実です。弊社の業務委託先である『あゆみトラストグループ』の取引実績であることはすべて確認済みです。ご来社いただければ、守秘義務に反しない範囲でエビデンスをお見せできます。なお、同社と各社の契約の一部は、事業の性質上、広告代理店を介した間接契約の場合はございます」と回答してきています。この「あゆみトラストグループ」とは、他ならぬ前述の「アブラハム・グループHD社」の後継企業ということにすぎません。
ICOを発行・運営するソーシャルグッド財団との取引関係にあるという回答ではないのがポイントではないかと思います。そのソーシャルグッド財団の業務委託先で取引関係があったからといって、自分たちのICOにあたかも協力が見込まれるかのような書き方で投資家を集めることは、「月5万円で1億円貯められる」と誇大広告を行った”いつかはゆかし”と同じ商法であると判断せざるを得ないでしょう。
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