■大手漁業会社による「まき網」乱獲のしわ寄せが零細の沿岸漁業者に!?

冒頭の記事やフォーラムのキモは「大中型まき網に対しては小型魚1500トン・大型魚3063トンの割当に対して、全国の沿岸漁業全体で小型魚1317トン、大型魚733トンの割当量」で、特に首をかしげざるを得ないのが大型魚の漁獲枠「巻き網=3065トンに対し沿岸漁業=733トン」という数字にある。そしてこの決定に至るまで、水産庁から沿岸漁業者への説明、調整は行われなかったそうだ。

この人たちは決して資源管理に後ろ向きなのではない。むしろ以前よりタイヘイヨウクロマグロ資源の危機について積極的に声を上げ、自ら身を切る禁漁も行っている。 

沿岸漁業者は小型魚はともかく、単価の高い大型魚を捕るのが本筋だ。それも一本釣りやはえ縄といった手間のかかる漁法で、一本一本丁寧に捕る。彼らはこれによって自らの生活も成り立たせているし、鮨をはじめとした日本の食文化維持にも貢献している。

小規模経営体である沿岸漁業者に与えられた漁獲枠、全国で733トンという数字は、すなわち沿岸零細漁業者は廃業しなさい!ということを意味している。まさに日本食の危機だと思う。

なぜこんな零細漁業者を潰す理不尽ともいえることが起きているのか?

また逆の見方をすれば、なぜ大手漁業会社が行うまき網漁がこんなに優遇されているのか?

それは読者諸氏のご想像の通りだと思う。日本が抱えたもう一つの闇だってことだ。怒りしかない。

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