この大仏は、銅を鋳造したものです。殆どの場合、大仏というものは岩場を削って造られます。当時の技術レベルで「巨大な銅像」というものは失敗の可能性が高く、非常に大きなリスクを伴います。

現代の発展途上国が人工衛星を打ち上げるようなもので、失敗すれば国家の威信に大きな傷がつきます。

だからこそ、やるからには徹底的に物事を追求する必要があります。大仏開眼に携わった僧侶の中には菩提僊那という人がいますが、この人はインド出身です。海路が開拓されていない時代、徒歩でヒマラヤ山脈を登って唐に行ったという超人でもあります。

そうした外国人を招聘したのですから、聖武天皇の本気度が伝わってきます。決して気まぐれで大仏を造ったわけではなく、また周囲の人々も聖武天皇の考えに賛成していたからこそ、このプロジェクトは具現化したのでした。

奈良の大仏は国家の基礎を固め、それは当然ながら現代日本の成立にもつながっていきます。

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