■根強い中国社会のLGBT差別、天安門記念日には矛先を躱すため政治利用も
そして2014年に習近平政権以来、「家庭暴力をやめよう」と声をあげたレズビアンの活動家たちのデモを拘束したのを皮切りに、再びLGBTへの圧力を強めています。
一時的にBL(BOYS LOVE)作品の、いわゆる「腐女子」のライトノベル作家を大量規制し、ネット上の同性愛映像と文字作品を一斉NGにするような「LGBT粛清」運動もありました。2016年にはネット配信されている男子高校生の「同性愛」をテーマにした『アディクト』というドラマが突然削除。中国当局は同性愛を「社会の暗黒面」であるとして、放送を全面的に禁止しています。
また今年4月には、中国のアップルと呼ばれるIT大手・シャオミの開発したAIスピーカーが「同性愛は変態か?」と聞くと「精神的にものすごくねじ曲がっていると思う」と答えることが判明し、話題になりました。これも中国社会の差別意識が反映されていると思われます。
これらの理由や現状のより、中国ではLGBT当事者のカミングアウトがとても大きな壁になり、同性愛男性のほとんどが異性愛者と偽装結婚をしているという現状もあるようです。
これに比べれば、日本のLGBTの生活や自由は十分に保証されています。現在LGBTの定義をすでに日本の教科書に追加し、差別が起こらないように配慮されています。これは文明国家の証です。
ところが、習近平政権が「ゲイリブ運動」をプロパガンダの道具に利用しているとの見方もあります。
http://www.hinews.cn/news/system/2014/06/04/016711654.shtml?wscckey=0f90236fb81784af_1514959280
14年の6月4日、四川省成都で「ゲイキス大会」なるイベントが開かれています。街中でキスを交わす同性愛者たちと、それを写真に撮る民衆たち。この日は、天安門事件の25周年記念日でした。主催は民間のゲイリブ団体だったようですが、大都市でこのようなイベントが行われるのは、党が主導だったと考えるのが当然でしょう。同性愛が政治利用されるのは、日本と同じです。
次ページ:多くのゲイは政治利用を望んでいない!? 誰のためのLGBT支援なのか