いまでは日本の日常生活に深く浸透しているパン。
実は日本の歴史は比較的新しく、実際にパンが日本に伝来されたのは16世紀半ばであったと言われています。
当時、鉄砲やキリスト教などと一緒にポルトガルから伝わってきた南蛮渡来の食品であったパンは、材料の小麦が手に入りにくい事と高価であったことから、ほとんど普及しなかったと言われています。
江戸時代になり外国人が多く滞在した出島では、パンやビスケットなどのヨーロッパの食品が求められるようになり、そのため、長崎では出島の外国人向けにパンやビスケットの製造が盛んになります。
その後、明治2年に日本で初めてのパン屋となった「木村屋総本店」が開業し、現在に至るまで、全国各地にパン文化が広がっていく事になります。
今回は、そんな米中心の日本人の日常生活に、ゆっくりと浸透してきたパン文化の一翼を担ってきた広島県・呉市の美味しいパン屋さんをご紹介しましょう。
お店の名前は「メロンパン」。
・創業1936年(昭和11年)の老舗パン屋さん、それが「メロンパン」
こちらのお店の創業は戦前の1936年(昭和11年)。
当時、呉は軍港として栄え1936年には23万人もの人口を抱える大きな都市へと成長していました。
この年、日本はロンドン軍縮会議を脱退し、その後2・26事件が勃発、東京市に戒厳令が敷かれる事態となります。
そして世界ではスペインの内戦が悪化し、ドイツとイタリアが協定を締結、そして、戦前・戦後の世界の行く末を決めたと言っても過言ではないフランクリン・ルーズベルトがアメリカで再選、ヒトラーがナチス・ドイツの宣伝のために第11回オリンピックをドイツ・ベルリンで開催し、ギリシャ・オリンピアからベルリンまで3000kmの距離を聖火を持ってリレーするという世界初の試みが行われるなど、混沌とした時代を予感させるような出来事がうまれた年。
そんな時代に、多くの呉市民に愛されてきたパン屋さんが産まれました。
・一般的なメロンパンとは一線を画す「メロンパン」のメロンパン
そんな老舗のパン屋さんの名物の1つが「メロンパン」。