ミクロフ(Mikulov)は、チェコの南モラヴィア地方のオーストリアとの国境に位置する、人口1万人ほどの小さな町です。

チェコは国民一人当たりのビール消費量が世界一で、ビールのイメージが強い国ですが、ここ南モラヴィア地方では、ぶどうの栽培が盛んで、品質の高いワインが多くつくられています。

チェコ国内で消費されるワインの大部分が南モラヴィア地方で生産されており、そのうち80%以上が白ワインです。

ミクロフでは、かつてディートリヒシュテイン家が税金として民からワインを集めてお城の地下の大樽に貯蔵し、そのワインを販売していたという歴史的背景もあるほど。

チェコ人に聞くと、「以前はボヘミア(チェコ西部~中部)の人はビールを好み、南モラヴィア(チェコ南東部)の人はワインを好む」というステレオタイプなイメージがあったそうですが、今日は流通量も増え、ビールとワインのどちらをよく飲むかは個人の好みによる、とのこと。

それでも、実際に南モラヴィア地方を旅してみると、ここの人たちは本当にワインが好きなんだなということを実感します。その理由は、ワイナリーが身近にあり、かなりクオリティが高いワインを手ごろな値段で購入できることにあるのかもしれません。

ファミリー・ワイナリー・ミクロフ・カタリーナ・シーロヴァー

今回はミクロフの家族経営ワイナリー「ファミリー・ワイナリー・ミクロフ・カタリーナ・シーロヴァー(チェコ語ではRodinné Vinařství Mikulov Kateřina Šílová)」におじゃまして、ワインづくりのお話を伺ってきました。

看板の「Vinařství(ヴィナスイトヴィー)」とは、チェコ語でワイナリーのこと。

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