豊かな黒髪にすっと伸びた鼻筋、分厚く真っ赤な唇同様の赤いザクロを手にし、心ここにあらずといった様子でどこか一点を見つめるプロセルピナ。
取材時(2018年10月現在)は、壁の少々高い位置に展示されており、鑑賞しづらいのが残念だったのですが、それでもその他多くの絵画に囲まれながら、一際の存在感を放っていました。
ローマ神話の女神、プロセルピナをモチーフにし、冥界の王プルートに誘拐され、1年の半分を冥界で暮らすことになってしまったプロセルピナの憂いに満ちた姿を描いています。
・「カーネーション、リリー、リリー、ローズ(Carnation, Lily, Lily, Rose)」
1885-6年、展示室1840
背の高いユリ、黄色のカーネーション、可憐なピンクと深紅のバラが咲き乱れる、夕暮れ時の薄暗い庭に、優しく灯る提灯の灯り。ヴィクトリア時代の少女の特徴的な服装であるコットン・ドレスを着た2人の少女が、提灯に火をともしています。
アメリカ人の両親の元、イタリアで生まれたジョン・シンガー・サージェント(John Singer Sargent)は、19世紀後半から20世紀前半にイギリスで活躍した画家です。
一日にほんの数時間、夕暮れ時に屋外で制作されたというこの作品。少女たちとその周りを取り囲む花々の純粋無垢な美しさと、提灯の優しい灯りに、なんとも言えない心の安らぎを覚えます。
絵の素朴な内容とはかなり対象的に豪華な黄金の額縁との対比も見事です。
・「マクベス夫人に扮したエレン・テリー(Ellen Terry as Lady Macbeth)」
1889年、展示室1840
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