特に規模の大きい展示室「1840」には、1840年代から1890年代の作品が展示されており、当時の旧態依然としたイギリス美術界の慣習を打ち破った芸術家グループ「ラファエル前派(Pre-Raphaelite Brotherhood)」の人気作品も数多くあり、特に多くの人々で賑わっています。

テート・ブリテンには、ラファエル前派の画家たちが好んで描いた美しい女性をモデルにした作品をはじめとし、魅力的な女性が描かれた作品が多く、その美しさは世界中の訪問者を魅了しています。

数多くの美女たちの中で、筆者が特に目を奪われたほんの一部をご紹介しましょう。

・個性が輝きを放つ「ハレルヤ(Alleluia)」

1896年、展示室1900 

1876年から美術の勉強をはじめたトーマス・クーパー・ゴッチ(Thomas Cooper Gotch)は、ロンドンやオランダの美術学校で学んだ後、フランスやオーストラリアなど各国を転々とし、また美術教師として活躍しました。
1891年から1892年までイタリアのフィレンツェに滞在したゴッチが、ルネサンス芸術の影響を受けて、後に独特な人物画を描くようになった頃の作品です。

賛美歌を歌う少女たちが身にまとったドレスは、サファイヤやルビー、アメジストやエメラルドといったカラフルな宝石のように輝き、キリスト教の祭壇のような黄金の背景にちりばめられています。

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