ビットコイン先物など仮想通貨の機関投資家向けエコシステム提供を目指すBakktの実現に向け、親会社であるICE(インターコンチネンタル・エクスチェンジ)が米ニューヨークの金融規制当局からカストディアン・ライセンス取得を検討していることがブルームバーグに対する関係者筋の話で明らかになった。

これは現物受け渡し決済を行うビットコイン先物を提供することを前提とした上でBakktが金融ライセンスの取得に動いていることを意味する。

Bakktは昨年12月にローンチが予定されていたが、金融機関の監視をおこなうCFTCからの申請認可が未だに発表されていないことによって延期。カストディのライセンス取得へ、この状況の打開に向けて新たな一手を投じた。

Bakktの米CFTCへ申請内容から、顧客資産の保管・管理の方法に関する懸念が先物取引提供への大きなネックになっていることがわかった。

なお、BakktがCboe(シカゴオプション取引所)やCME(シカゴマーカンタイルエクスチェンジ)と異なり、現物を介したビットコイン先物取引の提供、また仮想通貨決済など機関投資家向けの仮想通貨エコシステム構築を目指していることから以前の先物申請企業より複雑であるとCFTC側は判断しているようだ。

さらにBakkt自体に関する懸念点の他にも、米トランプ大統領が発令した政府閉鎖の外部的な影響も一部では想定される。

このような状況を受け、Bakktの親会社でニューヨーク証券取引所なども手がけるICEはまず米ニューヨーク州のDFS(金融サービス局)からカストディアンとしての認定取得を目指していることが関係者に語った。なぜBakktは米CFTCではなく、州単位での金融規制当局からの認定に焦点を移しているのだろうか。

これには米CFTCの金融サービスを認める仕組みが大きな要因として働いている。2017年12月に認可されたCboeやCMEなどはすでにCFTCから認可を受けている金融機関だった。

Bakktの親会社であるICEはすでにCFTCから認可され世界的にも有名な大手金融機関だが、2018年新設されサービス提供も開始していないBakktも新たに金融機関として、CFTCから認定を受ける必要がでてきた。特に先渡し決済を行う上で要となるカストディ面が大きな焦点になったとしており、州の金融規制当局から認定を受けることでCFTCからの信頼度向上を図ると関係者は説明した。

なおCFTCは州政府の事業ライセンスの認可も行なっていることから、Bakktがニューヨーク州の金融サービス局から認定を取得すればCFTCの管轄下で正式なカストディアンとして認められる。

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