2012年の「渋谷ヒカリエ」開業からはじまり昨年9月に「渋谷ストリーム」を開業させるなど、再開発が進む渋谷地域においてその中心的な役割を果たすのが東急グループ。東急の歴史自体、渋谷との深い関わりを持つが、このたび東急不動産ホールディングスは、グループ全体の本社機能を「渋谷ソラスタ」に集約させることを発表。地上21階、地下1階、設計からプロジェクトマネジメントまで東急グループ自らが担当した、2019年3月29日竣工の大型オフィスビルに入居する。


東急不動産ホールディングスは新本社の呼称を「Call」と発表。働き方改革が叫ばれるなか、「いつでもどこでも働ける時代だからこそ、わざわざ行きたくなるような場所をつくりたい」との発想のもと、「Call」を中心に「コミュニケーション活性化」と「生産性向上」を目的とした最先端に近い各種制度・システムを備える。その一つが、顔認証システムだ。

「渋谷ソラスタ」に入居していないグループ会社の従業員も入退館の手続き不要で、気軽に「Call」を訪れることが出来るようになる。さらにグループ従業員の交流スペースとして「COLABO!」を設け、東急スポーツオアシスによるエクササイズのレッスンを行うなど、従業員の健康増進のためのイベントなども積極的に企画していくという。

共有スペースには東急ハンズ監修の「ハンズカフェ」を設置。コーヒーマシーンなどを社員が自由に利用できるスペースとなるほか、今後はWELL認証対応の弁当販売なども実施予定。

その他、通常時は来客がパソコン作業や打ち合わせに利用することができ、最大100名程度収容のイベントも開催可能な共有スペース「SCRAMBLE!」を設けることで、社外の取引先との交流にも役立てるという。

また執務フロアには、集中して仕事ができる個室ブースや、ファミレスやラウンジをイメージした打ち合わせスぺ―ス、サウナをモチーフにした会議室なども設置するほか、スケルトンの内部階段をあえて中心にすることで、社員の健康増進や部署や階層を越えた連携を促していく。

さらに東急は、生産性向上やコミュニケーション活性化などを目的とした実証実験をCall内実施。その一環として「Green Work Style」と称し、受付や執務スペース内にも緑を豊富に取り入れており、慶應義塾大学の協力を得て、従業員の脳波を測定することで、定量的なデータ分析により「ストレス度」「集中度」「興味度」「快適度」「わくわく度」等を可視化。そのほか、社内制度であるフィットネスや、スタイルに応じて働く場所が自由に選べるグループアドレスが脳に与える影響、ストレス軽減の度合いなども測定する。

働き方改革の流れは不可逆であり、推奨されるべきものではあるが、テレワークや完全フレックスほか、各種社内レクリエーション等が実際どれほど生産性にプラスの影響を与えるのか、まだまだ困惑している企業も少なくないのではないか。オフィスを"貸す側"の東急が率先して定量分析に取り組むというのは歓迎されるべき内容だ。実証実験の結果は随時メディア向けリリース等で発表するという。