今年5月、ビットコイン(BTC)は「半減期」と呼ばれる新規発行量が半減するタイミングを迎える。ビットコインの新規発行や取引承認に必要な計算作業(マイニング)を行う者は報酬として新規発行されたBTCを受け取る事ができるが、半減期を境にその報酬が半分になる。足元、この半減期は5月12日に通過すると見られている。

過去、ビットコインは2012年11月と2016年7月に2度の半減期を通過している。2012年の半減期は出来高が少ないことやデータが完全でないことから参考とするのが困難であるため、ここでは2016年の半減期前後におけるBTC価格推移を振り返っておきたい。

2016年1月から5月下旬まで、BTC価格は350ドルから450ドル水準でもみ合いが続いていたが、5月27日以降に出来高を伴い上昇。6月13日に700ドル台に到達した後、瞬間的には777ドル(18日)まで上昇した。半減期を迎えた7月9日以降は10月中旬まで600ドル前後で推移したが、10月下旬辺りから出来高が増加してじりじりと上昇し、2017年1月1日には1000ドル台に到達した。こうした過去の値動きや、BTCの需給が引き締まることを鑑みると、5月の半減期前後のBTC相場は上向きとなることが期待され、かつオーバーシュート気味に動く可能性がある。5月12日に予定される半減期を控えて、BTCの価格のピークは3カ月前の2月中旬頃となる可能性がある。

ビットコインの供給に限りがあることに着眼した指標であるストック・フロー比率(ストックを新規供給で割った比率)から、ビットコイン価格の推移を推計してみる。足元ではストック・フロー比率は25(ストック:17.5百万枚、供給:0.7百万枚)だが、5月の半減期後には供給が半減するため、同比率の推計は53へと上昇する。このモデルから試算したビットコインの妥当価格は、5万ドル(約550万円)となる。

ビットコインから分岐したアルトコインであるビットコインキャッシュ(BCH)とビットコインSV(BSV)は、それぞれビットコインよりも約1カ月早く4月8日と4月11日に半減期を迎える予定であるが、足元高騰している。過去1週間の値上がりはビットコインキャッシュが約25%、ビットコインSVは約65%となっている。