11月5日(火)、江崎グリコ株式会社は東京都内にて「タンサ(短鎖)脂肪酸プレスセミナー」を開催した。

江崎グリコは人の腸内で作られる短鎖脂肪酸に注目し、2022年より「タンサ(短鎖)脂肪酸プロジェクト」を始動するなど、短鎖脂肪酸に関連した様々な活動を行なっている。今回のセミナーは、体重増加などの健康の悩みに対して有効な短鎖脂肪酸の働きについて解説するという趣旨のものである。

セミナーには、まずイシハラクリニック副院長の石原新菜氏が登壇。冬太りの原因とその対策について解説した。冬太りの原因としては、寒さのせいでの運動量の減少のほか、忘年会新年会などでの食べ過ぎ、日照時間が減った関係で食欲を抑制するセロトニンが少なくなることなどがあげられるという。

冬太りの対策として食事量を減らす人も多いが、石原氏はむしろ腸内環境を整えるべきで、それと同時に基礎代謝量も意識すべきと石原氏は語った。基礎代謝量は加齢以外に腸内環境の悪化などでも減るので、腸内環境を整えることも重要と石原氏は指摘した。

次に、慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授で、株式会社メタジェンの代表取締役社長CEOである福田真嗣氏が短鎖脂肪酸について解説した。

腸内環境の代謝物質の中で注目を集めている短鎖脂肪酸には、肥満抑制、血糖値コントロール、基礎代謝の向上、免疫機能の強化など様々な健康効果がある。体によい効果をもたらす短鎖脂肪酸を増やすためには、腸内細菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を摂ることが重要となる。ただし、人によって腸内環境が異なるので有効な食事の内容が違ってくるとのことだった。

江崎グリコからはタンサ脂肪酸探査チームの抗肥満研究担当である馬場悠平氏が登壇し、江崎グリコの研究と取り組みについて紹介した。馬場氏は研究成果として、ビフィズス菌と水溶性食物繊維のイヌリンを摂取すると腸内のビフィズス菌が増え、基礎代謝量が増えて日常のエネルギー消費量が増加することが分かったと発表した。

毎日の暮らしの中で短鎖脂肪酸を増やすための「タンサ活」

短鎖脂肪酸を日常生活の中で増やすため、江崎グリコでは「タンサ活」と「タンサ活レシピ」を提唱している。毎日の食生活の中に、短鎖脂肪酸を増やすためのビフィズス菌と水溶性食物繊維を取り入れることを勧めているのだ。

短鎖脂肪酸を増やし基礎代謝量を向上させるレシピも紹介された。管理栄養士の柴田真希氏考案のタンサ活レシピで、ビフィズス菌入りヨーグルトとアボカドと焼き芋を使ったスムージーだ。

レシピの他に、水溶性食物繊維が多い食品として、ごぼう(可食部100gあたり食物繊維量2.3g)、なめこ(可食部100gあたり食物繊維量1.0g)、ほうれん草(可食部100gあたり食物繊維量0.7g)、大麦(可食部100gあたり食物繊維量6.0g)も取り上げられた。

質疑応答では「効果が出るまで、どの程度の期間、タンサ活を続けた方がいいのか」という質問も出たが、「2週間ぐらいで効果が出るので、2週間は続けてほしい」「継続しないと効果が出にくいので、効果が出てからもタンサ活は続けてほしい」とのことだった。