■血だらけのままインタビュー
──ちなみに増子さんの自伝では、新宿でホストとケンカになった話がそのまま残ってたのが衝撃でしたね。
増子 ああ、パワーステーションの前だ。俺、サングラスかけて歩いてたんだけど、「おい、何見てんだよ」とか言われて、「見てねえよ! なんだおまえ、ケンカ売ってんのか?」って聞いたら「そうだ」って言うの。そうかと思って、「わかった、ちょっと裏に来いよ」っつって。ヒーヒー言ってたわ。
──ピアスをひとつずつ引きちぎったって描写に戦慄しましたよ!
増子 全部引きちぎって。田舎を聞いて、九州だって言うから、「明日、九州に帰れ。東京ナメんなよ、俺も東京じゃねえけど」っつって(笑)。
──恐すぎますよ! で、すごいと思ったのは、その日が取材日で。
増子 あ、そうだ。
──ボクの友人がインタビュアーだったんですけど、現れた増子さんが血だらけだったっていう(笑)。
増子 返り血で(笑)。
──「いまケンカしてきた」って(笑)。
増子 そうだ、あのすぐ近くで取材だったんだ。そこの場所を探してたら絡まれたんだ。田舎に帰るって言ってたな。いっぱいピアスしてたよ。「俺よりデカいから勝てると思ったのか?」っつったら「はい」。「甘いな、おまえ。ケンカはするもんじゃねえぞ」って。
──自伝で削られたのは元ハナタラシの大宮イチさんも登場するテキ屋時代のエピソードなんだろうなと思いました。
増子 そうそう、それこそ池袋だよ。ケンカといえば一回、2メートル弱ぐらいの黒人出てきたことあるからな。パンチ食らったとき、漫画みたいに首1周したかと思ったわ。回ったかと思った。「プリーズ・クールダウン」って言ったもんね(笑)。
──英語でコミュニケーションを試みて(笑)。
増子 しまいには「アイム・ユア・フレンド」だもん(笑)。知ってる英語、総動員だったよ。
──通用するんですか? その英語は。
増子 大丈夫だった。たぶんバカだと思ってんじゃない? 前座っていうか最初に絡んでくるヤツがいて、それも黒人なんだけど。背は俺と同じぐらいでぜんぜん弱いんだよ。なんだよ弱っちいなと思ったら、まあ大物が控えてて。しかも腰には『クロコダイル・ダンディー』みたいなナイフ。
──うわーっ!
増子 ここアフリカじゃねえぞ、俺の皮が剥がれるのかなって。あれはビックリしたな。早く警察が来ねえかなと思った。あれだって結局バイトしてたところのテキ屋の、イチさんの上の人だったの。またすごいバカで、そいつが余計なことするから揉めごとになったの。俺はそれを助けに行ったら逃げてったの。結局、俺しか残ってないんだから。そりゃないよね、ホントひどい世界だなと思った。なんだよおいっていうさ。
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