■民主党政権「コンクリートから人へ」が残した負の遺産

ところで民主党政権のときの総理大臣のひとりだった鳩山由紀夫氏が以下のようにツイートしている。

「川床をコンクリートで固め、林野の保全予算を大幅に減らせば洪水被害は増えるのは当然です。地球温暖化で災害の規模が大きくなることも周知のこと。十分な手立てを怠ってきた責任は大きい。」
https://twitter.com/hatoyamayukio/status/1016602842864316417

だが、上にも書いたように、防災のための予算を緊縮させていた責任は、民主党政権にもある。しかも鳩山氏がツイートで強調している防災のための「林野の保全予算」については、民主党政権の時代に大幅に削減されている。

例えば、林野庁の治山事業の予算をみてみよう。この事業は「集中豪雨、流木等被害に対する山地防災力を高めるため、荒廃山地の重点 的な復旧・予防対策、総合的な流木対策の強化により、事前防災・減災対策 を推進」(林野庁予算概要の説明より)するものである。この予算推移をみると、2008年度は1052億円、09年度は991億円だったものが、民主党政権では688億円(10年度)、608億円(11年度)、574億円(12年度)と急減している。

これは同党の「コンクリートから人へ」という政策、つまり公共事業の極端な削減方針の結果ではないだろうか? つまり緊縮主義が90年代から継続しているにせよ、民主党政権はそれをさらに加速させていたように思える。少なくとも鳩山氏の発言はこのデータからみると、むしろ自らの過去の責任に無頓着ではないだろうか。もっとも安倍政権もわずかに増加に転じてはいるものの、この「民主党政権の負の遺産」(治山事業の削減路線)を継承しているように思える。

豪雨災害には、自然の恐ろしさと同時に、政治や官僚たちの政策のミスが実は隠されていて、それがわれわれの生活を危機に陥らせているともいえる。そのことを単に机上の教訓にするだけではなく、実際の政策の転換に結実させなくてはダメだ。