■「野球に関心がない」前澤氏は球界の救世主となりえるか!?

04年の球界再編の際にも「プロ野球の危機」と囁かれたが、現在の球界は地上波視聴率の低迷やプレイ人口の減少などそれ以上の危機に瀕している。この状況で、ZOZOTOWNは野球人気回復の救世主となり得るのか。

しかしながら、前澤氏は「間違いなく野球に関心はない」(前澤氏を良く知る上場企業経営者)「”千葉愛”を繰り返されるのはむしろ迷惑」(NPB関係者)と、マーケティングで必要だから千葉の球団に手を出した感は否めない。いまは好調なZOZOTOWNも少し悪くなったら球団を放り投げてしまうのではないかという不信感も根強い。またSNS上では、”未成年利用可能な借金”だと社会問題化した「ZOZOツケ払い」や、定価では割高な在庫処分品を売りつける「定期便」などのZOZO商法を疑問視する声も聞かれる。

もちろん、楽天やDeNAでも球団参入時に批判に晒されたのは記憶に新しい。とりわけ、DeNAは参入時に「子供だましのビジネス」として強い批判を受け、渡邉恒雄氏に自社サービス「Mobage」を「モガベー」と発音されるなど、浸透に長く時間がかかった。

前澤氏が「球団経営を通して、ファンや選手や地域の皆さまの笑顔を増やしたい」と語るように、ZOZOTOWNもいざ球団を買収してみれば、DeNAのように愛される球団経営を貫徹して多くのファンが喜ぶビジネスにできるかもしれない。しかし、しょっぱなのところで交渉内容を漏らしてしまうようでは信頼関係を築くことは難しいのではないかという懸念は残る。

NEW'S VISION編集部の取材に対し、ZOZOTOWNでは「(社長のSNSでの話であり)会社の方からは今のところ何も発表はありません。(マリンスタジアムを持つ)千葉ロッテさんとの関係も新しいことは何も発表していないので、現状と変わりません」(スタートトゥデイ広報IR)と、あくまで社長個人の発言であることを強調していた。

また千葉ロッテマリーンズの方は「売却の話は過去にもいただいておりません。河合オーナー代行、山室社長が記者会見で否定していますように、今後も含めて売却は一切ございません。(ZOZOTOWN=スタートトゥデーは)今後の取り組みは特にございませんが、ネーミングライツをお持ちくださっているスポンサー企業として良い関係を築いていきたいと考えております」(インフォメーション)と書面で回答した。

すでに日本一を達成しているソフトバンクに楽天、それにDeNAも昨年日本シリーズに進出と、IT企業による運営は球団にとって良い結果を生む面も多い。今オフの進展が球界とファンにとって、望ましい結果になることを祈りたい。