東京医科大学が医学部医学科の一般入試において、女子受験者の得点から一律に減点を行なっていたことを8月2日の読売新聞が報じて話題を呼んでいる。同大学では”女子の入学者数を3割前後に抑えるために”、女子生徒の得点にのみ一律の係数をかけて減点していたという。
だが、東京医大の2017年度の男女比を見ると「女子54名(45%)」「男子66名(55%)」(入学者120名・推薦地域枠入学者含む/レクサス教育センター調べ)と他大学と比べて特に偏りがあるようには思えない。
むしろ慶應義塾大学の「男子76%」「女子24%」、東北医科薬科大学の「男子81%」「女子19%」(ともに医学部受験マニュアルより)など、数字だけ見れば、東京医大の男女比は私大医学部の中で極めて「健全」な部類ではないだろうか。
となれば「東京医大の女子一律削減」は、やはり受験性差の氷山の一角にすぎないのか。医歯薬系の受験関係者を中心に取材を進めてみた。
「女子と多浪は医学部不利は受験界の常識」と語るのは、大手予備校の関係者だ。
「一部私大の医学部では女子が不利なのは何十年も前から暗黙の了解だったと思います。一律減点というあからさまな不正はなくとも、二次試験の面接は大学側の裁量で反映できますし、他にも女子の平均点が低い”生物”の配点を高くすれば男女比は操作できる。また、一部国立大学の医学部では現役生と一浪を優遇し、三浪以上の多浪生に厳しいというのも有名です」
医歯薬系専門の予備校では、”女子に不利な医学部”や”多浪生に厳しい医学部”などリストを作られているようだ。それでも、医学部の女性比率が20%以下だった80年代以前に比べれば、現在は4割前後まで上昇しているという。
ちなみに「多浪生差別」については2005年度の群馬大学(国立)医学部で東京の56歳の主婦・佐藤薫さんが年齢を理由に不合格にされたと訴訟を起こしている。佐藤さんは入試成績の開示を大学側に求め、筆記と面接の総得点が合格者平均を10点も上回っていたという。
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