■石破氏に取り憑いた「緊縮主義の亡霊」

では、「構造的な人手不足」ではないならなにが原因か。それは石破氏が否定したがっているアベノミクス。特に事実上、金融緩和政策の貢献に他ならない。

もし石破氏がいまの日本経済を改善することを真剣に願うならば、いまのアベノミクスのいいところ(大胆な金融緩和政策の継続)を採用し、その欠陥(消費増税方針などに象徴的な財政緊縮スタンス)を修正することである。

だが、石破氏にはせいぜい消費増税への慎重姿勢しかなく、彼の意識は行財政改革など要するに財政規模の縮小=緊縮主義に向かっているのではないだろうか? アベノミクス以前の日本経済を停滞させたのが、小さな政府を目指す行財政改革や構造改革などにあまりにもとらわれてしまい、経済停滞の真因であるデフレを解決してこなかったことにある。石破氏は、デフレを軽視する論者がしばしば採用する財政・金融政策は「カンフル剤」であり、根本的な問題を解決するものではないといっている。

本当に過去の緊縮主義の亡霊である。このような経済政策観の持主が日本の総理になれば、日本経済は再び停滞に陥るかもしれない。