人の現実を動かしたことに感動している

──間違いなくあるはずです。そして当時、「成功とはお金でも名声でもない。どれだけ人を楽しませたかだ」って言ってたんですけど、いま成功しかけてみてホントにそうだなと思いますか?

上田 うーん……それは思いますね。これ、僕に興行収入が入るわけでもないので。

──『カメラを止めるな!』がこれだけ大ヒットして、儲かってそうに見えるけど。

上田 一般的にもそうですけど、最初のギャラで仕事を請けて、ヒットするかしないかわからない状態で作ってるので。

──DVD化とかされたら別だけど、現状、どれだけ拡大公開されようが関係ない。

上田 はい、DVD化されたら二次収入とかはあります。それは一般的なメジャー映画でもそういう場合が多いんですけど。

──ただ、メジャー映画の場合は最初に入る金額がぜんぜん違うわけじゃないですか。

上田 だから……またちょっと熱いこと言っちゃいますけど。

──大丈夫ですよ!

上田 結局、劇場のロビーとかで「映画を作るのはあきらめてたんですけど、もう一回やってみます」って言われたり、「私、陸上部でランナーになろうと思ってたのをあきらめてマネージャーやってるんですけど、もう一回ちょっと1年だけ選手として走ってみようと思います」とか言われたときが一番胸が熱くなるっていうのはあるんですよ。9歳の女の子が「夏休みの自由研究を『カメラを止めるな!』にします」って言ったりとか。自分の作ったものがヒットしたりお金になったりっていうのもうれしいですけど、人の現実を動かしたっていうことにすごく胸が動いてる自分はいますね。そのときは実感もないまま適当こいてただけだと思うんですけど(笑)。それがやっとわかりましたね。

──これからたいへんだと思うんですよ。金銭的なメリットがそんなにない状態で、目立てば目立つほど批判的な声も入ってくるようにもなるし、売れなかったときは抱えなくてよかったトラブルも起きるようになるし、いろんなことが起きていく中でこの一生青春感を保てるかどうか。この逆境をうまく転がしていけるのかっていう。

上田 そうですね。でも、妻は俺の琵琶湖のブログを見て、「この人の遺伝子がほしい」と思って好きになったらしいんですよ。

──奥さんもそっち側の人なんですね(笑)。しかし、『カメラを止めるな!』も異常な高評価ぶりじゃないですか。周りで批判してるのはターザン山本ぐらいですから(笑)。

上田 それ見ました。ターザン山本さんとターザン山本さんに同意してた誰か。

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