2階の客室では、金唐革紙(きんからかわし)の壁紙に注目。金唐革紙は、ヨーロッパで内装に使われていた金唐革を和紙で再現したもの。和紙に金属箔を貼り、版木に当てて凹凸文様をつくることから、立体感と豪華な模様が特徴です。

さらに、2階の婦人客室に採り入れられている、イスラム風の装飾も見逃せません。ここに、「イスラム様式は日本と西洋をつなぐ様式である」というコンドルの考えが表れています。

洋館とは別に、離れとして建っているのが撞球室(ビリヤードルーム)。

これもコンドル設計の木造建築で、アメリカの木造ゴシックの流れをくむ、スイスの山小屋風の造りとなっています。当時ビリヤードは紳士のたしなみとされ、同じくコンドル設計の鹿鳴館(現存せず)にもビリヤードルームが設けられました。一見しただけではわかりませんが、実は洋館とは地下通路でつながっています。

建物内に立ち入ることはできませんが、入口から豪華な金唐革紙の壁などをのぞいてみましょう。

次ページ