G20で海洋プラスチック問題が議論されている。日本では信じられないことだが、水道水が飲める品質にないのでペットボトルの水を買わざるをえない国や地域は多く、そのゴミが汚染の原因になっているという。そんな社会問題を解決する鍵になりそうなのが日本システム企画株式会社(東京都渋谷区)が特許を持つ、水道管の更生装置『NMRパイプテクター』だ。

英国バッキンガム宮殿や大英博物館にも採用されており、日本よりもむしろ世界、特に欧州で注目を集めているパイプテクター。パイプテクターを老朽化した水道管に装着すると、赤錆が人体に無害な黒錆へと変化。水道管を取り換えなくても、水をきれいなまま保つことが可能になるのだ。配管工事に比べ費用は1/5~1/10に抑えられ、古い建造物にダメージを与えることもない。パイプテクターは1996年に開発されて以来、現在まで国内外で1万棟を超える設置実績を持つ。日本ではとくに、築20年を超えるマンションの大規模修繕に重宝されるケースが多いようだ。

環境イノベーション企業を標榜する日本システム企画はG20に合わせ、6月27日にメディア向けセミナーを開催。海洋廃プラ汚染問題に対してパイプテクターがどのように貢献できるか解説がなされた。「水道水がまずくて飲めない理由は配管内の劣化による赤錆が原因」と語るのは同社代表の熊野活行氏。

交差点の下を通る配管など工事が大掛かりになる箇所は古い配管がそのまま放置されやすく、とくに多くの赤錆が発生。赤水がでたり、殺菌用塩素の投入量を増やすことに繋がる。パイプテクターを利用すればインフラ更新の費用抑制にとどまらず、水道水の味覚を向上させることができる。「途上国では、水道水が飲めないから高価なペットボトル飲料を購入せざるを得ない実態がある。パイプテクターで廃プラ汚染の問題解決に貢献したい」熊野氏はひときわ熱意を込めて語った。

日本が世界に誇る、だが知られざる大発明品、パイプテクター。すでに国内およびベトナム等で広範な地域の水道管に設置する実証が行われており、目視でわかるほどの水質改善・赤錆防止の効果が得られているという。目に見える外交の成果も喜ばしいが、民間レベルでこのような形で諸外国に貢献できるというのもまた、日本人として誇らしいものだ。