Augurは、Ethereum上で稼働する分散型予測市場を提供するプロトコルである。予測市場はギャンブルと見られることも多いが、本来の目的は「効率的な未来予測の提供」にある。2015年のICOでは約5億円が調達され、2018年7月にメインネット、2020年7月にVersion 2がローンチされた。DeFi Llmaによると、Augurの合計ロック資産額(TVL)は約12億円である。累計ユーザー数(ユニーク・アドレス数)は2,500ほどで、その他のDeFiサービスと比較するとそれほど多くはない。

Augurでは、スポーツ、政治、経済、金融市場などに関する将来的なイベントを対象として、誰でも自由に予測市場を作成し、投機やヘッジ目的で参加することができる。Augurで人気の予測市場は主に政治関連であり、トランプの勝敗を賭けるマーケットの取引高は約15億円に上った。その他、ワールドカップ決勝の勝敗など様々な市場が存在するが、流動性は限られる。

Augurの基盤トークンはREPであり、レポーターのステークとディスピュートにのみ用いられるユーティリティトークンである(ガバナンストークンではない)。クリエイターが予測市場を開設し、複数のユーザーが「勝ち」か「負け」を選択した上で、任意の額のDAIを預託する。レポーター(REPホルダー)は結果をスマートコントラクトに通知し、預託金は勝者に返還される。レポーターはREPをステークする必要があり、不正な報告を行った場合には没収される。レポーターの報告結果に不満がある場合には、REPをステークすることで誰でもディスピュートすることが可能であり、ディスピュート量がレポーターによるステーク額を上回ると、報告結果は反転する。

既存の予測市場サービスに対するAugurのメリットとして、(1)地理的な制約に囚われない、(2)インターネットに繋がれば誰でも自由に参加可能である、(3)結果が分散的に報告されるため信頼性が高い、(4)透明性が高く、ディーラーによる中抜きが困難である、(5)手数料が低い(既存サービスの手数料が10%なのに対しAugurの場合は1%以下)、などが挙げられる。

Augurはオーダーブック型であるが、同時にAMM型の予測市場アプリケーションであるCatnipも提供している。Catnipはトークン化した予想をBalancerのプールで売買できるようにしたものである。また、独自のAMMを開発する意向もあるようだ。

出所:Coin Market Cap