1841年創業の繊維の老舗専門商社として知られる豊島株式会社が、新素材と新商品を展示会でお披露目した。これまでもファッション業界の中で率先してサステナブルな事業を展開してきた豊島ならではのものとなっている。

豊島が発表した新素材は、サステナブルな要素を重視した点に特徴がある。新素材のひとつ、「UpDRIFT™(アップドリフト)」は海洋プラスチックから再生された繊維だ。

海、川、森に捨てられたペットボトルなどのプラスチックゴミを回収し、それらを繊維「UpDRIFT™」として再生している。

UpDRIFT™」はアパレル製品原料となるが、シチズン時計のサステナブルウォッチブランド「CITIZEN L(シチズン エル)」のバンドにも採用されている。

UpDRIFT™」のもととなるプラスチックごみだが、今後、湘南などの各所でビーチクリーンアップ活動を行ない、そこで回収したゴミをリサイクルして使用することも予定されている。

漁網を再生させて繊維にしてアパレル製品を作る

使用されなくなった漁網を再生させたのが、「UNTANGLEIT™(アンタングルイット)」だ。毎年640,000トンもの漁網を含む漁具が海に放流されて、大きな問題となっている。

放流された漁網は、海中を泳ぐ海洋生物に絡んで危害を加えたり、サンゴ礁やその周辺に生息する生物に危害を加えたりするのだ。

こうした問題を解決する手段のひとつとして、豊島は漁網の再生に取り組んだ。使用済みの漁網を回収して、洗浄。加工してアパレルに適した繊維を作り、アパレル製品を作り出すというプロセスが「UNTANGLEIT™」なのだ。

サステナビリティと機能性をあわせ持つパンツブランド

豊島はサステナビリティと機能性を両立した新商品も発表した。「WONDER SHAPE(ワンダーシェイプ)」はストレッチ性素材であり、それを使用したパンツブランドである。

WONDER SHAPE」では、特許を取得した独自のニッティング技術を使用。「360度方向にのびる」のに「元の形をキープする」という特徴を持ち、履き心地のよさを実現している。

サステナビリティに関しては、燃料の一部に天然ガスを使用し、染色工程で使用する水の60%を循環使用するなど、環境に配慮している。

今後、社会・環境に対して問題意識を持つ若者層はどんどん増えていくと予想できる。ファッションを選ぶ基準として「社会貢献・環境負荷への配慮」は重要な要素になっていくことだろう。

豊島のサステナブルな新素材と新商品は、ファッションの未来への道筋を示したものと言えそうだ。