1913年、栄一翁はその経営に携わった上武鉄道(現 秩父鉄道)延伸の視察で長瀞に宿泊して、「いつ訪れても飽きることがない長瀞はまさに天下の景勝地である」という言葉を残しました。
寶登山(ほどさん)神社秩父山塊の中でも数少ない独立峰である宝登山の山頂に鎮座する寶登山神社。その昔、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の帰途宝登山の美しさに惹かれ、ミソギの後に山頂を目指した際に山火事に遭遇し、山の神の使いである巨犬に命を救われたことから創建されたと伝えられます。
現在の御社殿は江戸時代末から明治初頭に造り替えられたもので、本殿・幣殿・拝殿よりなる権現造りです。本殿の左右の欄間には「二十四孝」や出世を意味する「登竜門」などの彫刻が施されています。造り替えの折には、渋沢栄一の伯父にあたる渋沢宗助が多大な寄付をしたのだとか。
御祭神は、神武天皇である神日本磐余彦尊(かんやまといわれひこのみこと)、山を司る大山祇神(おおやまづみのかみ)、火を司る火産霊神(ほむすびのかみ)。神社の伝説から、火災盗難除け諸難除けの守護神としてご神徳が高いとされています。
本殿垣内にある「みそぎの泉」は、日本武尊が宝登山に登られる前に身を清めたとされる泉です。「玉の泉」とも称され、日照りの続くときや雨の降り続くときでも一定の水位を保ちながら沸いています。清らかで良い気が満ちており、パワースポットと呼ぶ人もいるそうです。
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