館内のあちこちに太宰治の作品や太宰治にまつわる本、さまざまな文学作品があり、ほとんどの本は自由に読めます。太宰治をはじめとする文豪の作品(文庫)も一部販売されています。

利用には喫茶か食事の注文が必要(見学のみは不可)ですが、時間制限はなく、料金は飲食した分しかかからないので、コーヒーや紅茶を飲みながら好きなだけ読書に没頭できます。午前中から夕方までずっと本を読んでいる人もいるとか。

2階の一番奥、廊下の左側にある部屋(上写真)は、太宰がパビナール中毒のために入院した自身の実体験をもとにした小説『HUMAN LOST』(『人間失格』の原型)を書いた部屋です。入院とその間に愛する人の裏切りを知り、生涯最も辛く過酷な実生活を送ったとされています。

ほかにも2階には太宰治の作品名にちなんだ名前がつけられた部屋がいくつもあるので、ぜひ足を運んでみてください。階段を上がった正面にあるのは、『富嶽百景』に登場する“便所”で、太宰はそこで衝撃の事実(妻の過ち)を知らされ途方にくれたとか……。

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