■ケンカが終わったらノーサイド

──それこそブレーンバスターかけられた上京直後のバトルにしてもそうだろうし。

増子 池畑(潤二、元ザ・ルースターズ)さんにブレーンバスターかけられたときは、ちょっとうれしかったけどね。『爆裂都市』そのまんまじゃん、「来た-! 本物食らったー!」って思ったもん(笑)。ただ、「痛ってーー!!」だったけど。池畑さん優しかったな、Tシャツがビリビリになっちゃったら、自分が着てたヤツを脱いでくれたから、「これ着て帰れ、おまえそれじゃ帰れねえだろ」って。試合が終わったんじゃねえんだから。

──サッカーみたいに(笑)。

増子 ユニフォーム交換じゃないんだから。ジーザス・ジョーンズのTシャツ、「これ日本で売ってねえヤツだぞ」って言ってくれたんだよ。

──その時期だったんですね。そういう、終わったらノーサイドな感じが美しいじゃないですか。

増子 そうだね、そこからめちゃめちゃかわいがってくれるから。当時は殴るのももちろん好きだけど、殴られるのも嫌いじゃないっつうさ。「やるなあ、おい」みたいな。

──ある種のコミュニケーションなんですね。

増子 そうそうそう。「こいつ強えな!」みたいなのがたまらん時期もあったよね。痛いのは嫌だけど、そこにまた燃えるっていうか、「やるじゃねえかよ!」って、それはあったな。

──柴山俊之さんにからかわれたのが池畑さんたちとのトラブルのきっかけだったみたいですけど(最後は割った酒瓶で柴山さんの手を刺して救急病院に……)、その後の柴山さんの「やるじゃねえか」感もすごいですよね。

増子 ハハハハハハ! あれからめちゃめちゃ優しくしてくれて、しまいには曲も書いてくれたからね。4年前かな、急に電話で「作った曲、怒髪天に合うからこれやるわ」「マジっすか! くれるんですか?」っつって。俺らにとってARBでもルースターズでも、いい曲だなと思うと柴山さんが作ってるのが多かったから。その人が、かわいがってくれてるとはいえ、急に曲を作ってくれてさ。ロックヤクザの曲。どういうイメージだっつうの(笑)。

──「おまえらに合うから」って(笑)。

増子 そう思ってたのかっていう。だけど、そういう縁って最高じゃない。男に生まれないとなかなかないよ。そりゃあ暴力はいかんと思うし。

──暴力がないに越したことはないですけどね。

増子 越したことはないけど、マイナス面ばかりじゃないね。一方的なのはダメだと思うけど。

──それでわかり合えることもある。

増子 そうそうそう。イジメだなんだっていっても、小学校でも中学校でも、俺はイジメたつもりなくてもそういう具合になってた場合もあるかもしれないじゃない。でも、そういうヤツらといまだにつき合いあるよ。ライブも観に来るし飲みにも行くし、ぜんぜんふつうに友達だからね。そういうもんじゃない? 変に恨みを持たれるようなやり方してるわけじゃないし。

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増子直純(ますこ・なおずみ)●1966年、北海道出身。1984年に札幌にて、自身がボーカルを務めるバンド怒髪天を結成。1991年にメジャーデビュー。1996~1999年の活動休止期間を経て、2004年に再びメジャーでのリリースを開始し、2014年には日本武道館ワンマン公演で大成功をおさめた。個人としても幅広い活動を行なっていて、関ジャニ∞「モンじゃい・ビート」やももいろクローバーZ「ももいろ太鼓どどんが節」など、提供した楽曲も多数。桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」やKIRINの「のどごし〈生〉」などのCMにも出演/歌唱していて、お茶の間での認知度も高い。現在、LIVE DVD&Blu-ray「怒髪天presents“響都ノ宴”10週年記念『夢十夜』」が好評発売中。

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怒髪天の恒例企画「響都ノ宴」を初映像化。バンド結成の1984年から活動休止する1996年までのアーリー怒髪天イヤーズ。活動再開の1999年から2004年までの現在の怒髪天の礎となったフライハイトイヤーズ。2004〜2006年のちょっと濃い味アーリーテイチクイヤーズ。以上の3つの時期のライブ映像を収録! 特典はドラムス坂詰克彦のソロセカンドシングルCD「待っているのよ」!

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