安倍政権が秋以降も継続したとして、その経済政策にはきわめて深刻な問題がある。一つは来年に実施が予定されている消費増税である。これは2014年の増税と同じように経済に大きなブレーキをかける可能性が大きい。特にいまの政府が想定する消費増税対策といわれるものは、14年のときと同じようにすべて短期的なものばかりである。消費増税の悪影響は、14年の増税の影響が消費の低迷としていまだ影響を及ぼしているように“長期的”な効果をもつ。おそらく政府の消費増税対策は限定された効果しかもたないだろう。

消費増税に加えて深刻なのは、日本銀行の金融政策である。経済状況がさきほどの雇用面含めて改善したのは(もちろん消費増税の影響がなければさらに改善したであろう)、このインフレ目標政策を核にした金融緩和政策にある。だが、まだインフレ目標が達成されないなか、このインフレ目標自体を事実上見直して、「出口政策」つまり金融緩和の手じまいを狙う動きが、日銀内に出ているという観測がなされている。もしそれが現実化するならばことは重大である。

つまり今年後半から来年にかけて、消費増税と金融緩和の終了のダブル攻撃で、日本経済が大きく失速することになる。オリンピック景気どころではない。この経済政策の大失敗の可能性は、そのまま安倍政権の終わりを予見するものとなるだろう。そして国民にとって安倍政権継続よりもはるかに重要なのは、自分たちの生活である。いま危機の予兆に、私たちの生活が直面していることを自覚すべき時だと思う。

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