■反社会的勢力の党員はいない!? 戦後右翼のなりたちと現代「右翼」の実態

大日本愛国党は昭和26年、公職追放解除を機に赤尾敏氏(故人)を総裁として設立結党された政治団体です。数奇屋橋の演説、社会党浅沼党首暗殺、三木首相殴打事件といった過激な運動で有名な「右翼団体」といった方が解りやすいかもしれません。

戦後一貫して天皇陛下を中心とした道義国家の形成維持、つまりは「国体の護持」を訴え、戦後米国の意向で作られた現行憲法を否定、日本人による憲法の制定を広く呼び掛けています。また独立国としての「自衛軍備・自主国防体制の構築」「共産主義撲滅」等を、時に過激な行動を伴いながら70年近く「日の丸世直し運動」として実践してきた行動右翼なのです。

その九州各県本部の連合体が大日本愛国党・九州連合会で、その会長を務められるのが生野英信氏(71)です。昭和46年から赤尾敏総裁の薫陶を受け、47年間も右翼一筋でこられた方なのです。毎週日曜日に行う街頭演説は422回を数えたそうで、その一念たるや想像するに難くありません。

こう書くと何やら眼光鋭い怖い方を想像してしまいますが、実際にお会いした生野氏はとても礼儀正しく、物腰軟らかい紳士なのです。御自身を常に律し、奥様と二人慎ましく暮らし、その暮らしと人生のすべてを愛国運動に捧げておられます。

対峙する勢力には常に言論を以て戦うを旨とされているそうですが、昔は左翼からの攻撃がひどく、時に乱闘を繰り広げることもあったと聞きます。そんな歴戦の闘士、右翼という生き方を体現された生野氏の元には多くの若者が集まっています。

もちろんその中に「反社会的勢力」とされる党員は一人もいません。正確には党員になれないのです。全員が会社員や所謂勤め人として生計を立て、党費を出しあって活動に充てています。

純粋に愛国運動・右翼運動を行う団体、つまり我が国の大多数の右翼団体・民族派団体は、同様に会費を徴収して健全に運営されているのです。

噂されるような「黒い資金」が流れてきてるとか、日当が出るなんて話は一度も聞いたことがありません。いつの時代のお話でしょう。機関誌を押し売り同然に購読料を徴収したり、電話で高額な本を売りつけるとか、企業を恐喝したりするのは「社会運動標榜ゴロ」っていう犯罪集団の手口です。これらは時に右翼、またある時は同和等を騙ります。

全国の警察は管内の右翼団体構成員の情報を素晴らしく(笑)収集しています。何かしらの不穏な動きがあるとすぐ連絡がきますし、時には自宅訪問まであるとか。「昭和の時代とは違う。今や右翼だからこそ身を正し犯罪行為はご法度だ」と、皆さん口を揃えて言います。

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