29日のビットコイン市場は、約3週間続く下落の流れを払拭できず、再び急落に転じるも、100万円割れ回避で急反発。下落分を打ち消す値戻しで上下に4万円幅振れるなど高いボラティリティを伴う値動きとなった。

急反発したポイント(99万円付近)は、年初来高値149.5万円更新後に下落した7月の最安値水準となる。100万円タッチは今月で2度目だ。

12日のビットポイント・ジャパンでの仮想通貨不正流出の発表や、米政府当局がフェイスブックの「リブラ」への懸念が表面化。Bitfinexの聴取などが控えていることも、市場心理を悪化させる要因となっている。

直近の値動きでは日本時間に価格変動することが多く、19年4月以降に資金流入傾向が強かったUSD(米ドル)も規模を縮小。Coinlibが提供するマネーフローデータではテザーの市場シェアが急拡大し、対フィアットペアで薄商に移行している。(薄商=市場の売買高が少なく、取引に活気がない)

出来高が薄くなるタイミングを狙った仕掛けの可能性も指摘されるなど、出来高減少の影響も懸念される。ハイレバレッジ取引を行う投資家には、厳しい取引環境が続く。

テザー問題も、29日の聴取などを控える中で懸念が表面化しているが、出来高が細る市場の中で、USDTは流動性における優位点や税制面などから根強い需要は続いている。

米ドルの資金流入減少
米ドル資金が細る要因には、米国における税金の催促状送付などで、ビットコインなどの売買益で不安再燃していることや、米国内の法律準拠を促す動きが高まっていることも一因だ。

IRS(Internal Revenue Service、アメリカ合衆国内国歳入庁)は今月初め、6174-Aと呼ばれる納税に関する催促状を米大手取引所利用者宛てに送付。納税滞納者に限らず、多くの利用者宛てに送付されたことを受け、米国では売買益に対する納税へ意識(警戒感)が高まっている。

米国の法律関係では、米国内にライセンスを置かない取引所が法律の不明確性を懸念して撤退する動き(規制当局による勧告との見方もある)が続いているほか、29日にもNY州を対象としたUSDTなどの営業を巡り、Bitfinexの告訴取り消しの動議を審議する聴取が控えている。

海外アナリストは仕掛けを指摘
週末より乱高下したビットコイン市場を受け様々な市場分析が国内外で発表されているが、仮想通貨アナリストNicholas Merten氏は、週末の価格変動をビットコインクジラによる仕掛けであると見ている。

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