「最近は競争が激しいのでそう簡単ではなくなりましたが、地方国立大学医学部にも高校推薦があり、その推薦で入ってきた子の医師国家試験の突破率が低かったり、医師になったあとのパフォーマンスが高くないので、結局は高校時代からしっかり勉強して受験を勝ち抜いてきた子が、ちゃんと6年で国家試験を受けて合格し、その後の医師としても能力が担保されるということが、実際には証明されているというのが現状です」(Y氏)

では、受け入れる私立大学の側はどうでしょうか。今回の東京医科大学の関係者や、別の私立大学医学部で附属病院の運営に関与する医師は、次のように説明します。「毎年、さまざまなご縁のある筋から10名ないし15名程度の、外からのご推薦をいただいたという話があります。今回、理事長がすぐに退任に追い込まれましたが、学内では公然の秘密で、リストがあることも知られていましたので、報道自体に驚きはありません」(東京医科大学関係者)、「今回、東京医科大学が可哀想だったのは、彼らだけが便宜を図ってもらってきたわけではないし、文科省有力者の子弟がたまたまその時期に入ってきていただけだということ。それをいったら、うちの大学の医学部だって『どうしてお前みたいな学力の子が医学部にいるの?』というのはいる。親の話を聞いて『なるほどね』とは思うけど、それ以上は詮索しません」(医療関係者)

「私立大学が虎の子の医学部で斡旋入学をする問題がどこにあるのか」と開き直るような発言が繰り返し出てくるのが悩ましいところですが、問題はこれらの『裏口入学』には医学部に限り”相場”があるとされる点です。今回、当局の捜査の対象となっているのはこの「不透明な”相場”によって斡旋されて入学したカネがどこに流れたのか」も含まれており、恐らくは、起訴され公判になれば全容が解明されるのではないか、とY氏は説明します。「私の知り得る限り、私立文系では10年以上前にそんな”相場”というのはなくなり、大学の入学査定でゲタを履かせることもあまり聞かなくなりました。しかし、やはり政治家の子弟であれば優先して入れたいという大学もありますし、留学先含めてアレンジしますという提案もあります」(Y氏)

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