これまで見たことがないほど斬新な襖絵でありながら、不思議と青蓮院門跡の世界に溶け込み、まったく新しい魅力が花開きました。

・建仁寺

祇園の奥にたたずむ「建仁寺」は京都最古の禅寺。賑やかな花見小路の突き当たりに、花街の中心とは思えないほどの静寂が広がります。

建仁寺は、1202年に源頼家が寺域を寄進し、栄西禅師によって開山された臨済宗建仁寺派の大本山。創建当初は天台宗と密教、禅の三宗兼学でしたが、のちに純粋な禅寺となり、現在に至っています。

そんな建仁寺では、新旧のアートが揃い踏み。建仁寺アートのアイコン的存在が、2002年に日本画の大家・小泉淳作氏によって描かれた法堂の「双龍図」。

お堂の天井いっぱい、実に108畳分もの大きさに描かれた二匹の龍の天井画は、今にも動き出しそうなほどの迫力です。

一方、染色作家として活躍する鳥羽美花氏が2014年に奉納した小書院の襖絵は、古風なモチーフでありながらどこかモダン。

目の覚めるような青で描かれた「舟出」と、水辺の静けさをモノトーンで表現した「凪」は、観る者をいつか見た心象風景へといざないます。

・随心院

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