東福寺は、言わずと知れた紅葉の名所。ですが、ここ数年人気急上昇なのは、有名な通天橋ではなく、本坊庭園。昭和を代表する作庭家・重森三玲が手がけた庭園で、「フォトジェニック」「レトロなのに新しい」とSNSなどで話題になっています。

方丈を囲むように設けられた4つの庭は、鎌倉時代の質実剛健な禅様式を基調としつつも、現代の抽象芸術の要素を採り入れ、1939年に完成しました。2014年には国の名勝に指定され、「国指定名勝 東福寺本坊庭園」となっています。

なかでも注目なのが、市松模様を配した北庭。古来より伝えられてきた市松模様ですが、庭園に用いられるのは斬新な試みでした。

緑鮮やかな苔とグレーの板石とのコントラストが美しく、「こんな日本庭園があったんだ!」という新鮮な驚きに包まれます。

日本庭園史上、初めて星座を表現した東庭や、サツキの刈込みと葛石(かずらいし)で立体的な市松模様を表現した西庭、枯山水に現代的なアレンジを加えた南庭も必見。知らなかった日本庭園の世界にふれてみてください。

・毘沙門堂 勝林寺

最近SNSで人気に火が付き、全国的なブームとなっているのが「花手水(はなちょうず)」。

次ページ